衝撃の事件に隠された感動の真実を舞台化!!
「母の命を奪ったが、もう一度母の子に生まれたい」
東京の下町で、小さな工場を経営している父・北嶋良蔵から「他人様に迷惑をかけるな」と厳しく教えられて育った茂。 父親の小さな工場は長引く不況で倒産、残った借金返済と両親の面倒を見るために、茂は、新たな工場に勤めだす。 やがて父・良蔵がこの世を去り、母・サエと二人暮らしとなった茂。 だが、丁度その頃から、母・サエに認知症の兆候があらわれる。 事件は、アパートの大家から勧められた、茂のお見合いの席で起きた。 時間になっても、立ち会うはずの母・サエの姿がない。仕方なくお見合いを始めた時、突然裸足で帰ってきた母・サエ。 その場にいた全員が、その姿を見て驚く。 そして、明らかに母・サエの言動がおかしくなっていた。 明らかな認知症の症状に驚愕とする茂。 そして、お見合いは失敗し、茂は、大家夫妻に迷惑をかけたことを悔いる。 「他人様に迷惑をかけるな」茂の胸には、父・良蔵の声が何度も去来する。 過ぎ行く時が、母・サエの認知症の症状を悪化させ、夜に起き出す母の介護は、昼間働く茂を疲弊させていく。それでも、茂は誰かに助けを求めることもなく、母の介護をする。 やがて働きながらの介護に限界を感じた茂は、会社を辞め、介護サービスを利用しながら24時間、母の介護を始める。 そんな茂を苦しめることになるのが、本来、茂のような立場の人間を救うはずの社会保障制度の仕組みだった。 僅かな蓄えを切り崩しながらの介護生活は、茂の心と体を蝕んでいく。失業保険も止まり、カードローンも限度額に達し、生活費が生活費が底を尽きかけた時、最後に頼ったのは、これまでも何度か断られてきた生活保護の申請だった。 しかし、またも断られ頼みの綱を完全に失った茂。 時々、茂のことも分からなくなる母を見て、このままでは生きていけないと悟る茂。 素直に父の教えを守り、真面目に社会保障の仕組みに従った茂が最後に取った行動は。。。 あまりにも悲劇な結末を招く。。。
(裁判シーンにおいては、京都伏見介護殺人事件の陳述ならびに供述調書を引用しました)
推薦 田原総一郎
(ジャーナリスト)
高齢化社会が進み、介護問題が非常に深刻になる。
妻が夫を、或いは夫が妻を介護する場合、高齢になると自分の事すらおぼつかなく、事実上、介護が出来なくなる。
息子や娘の親に対する介護も、深刻になると、仕事を投げ出し、或いは家庭崩壊、という事態にも至る。
そこで、その介護の問題に真っ正面から取り組もうとしている舞台は、非常に意義があり、心から賛同します。劇団ZANGEのこれからの活動に期待しています。
